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倉庫の老朽化 アメリカでも深刻に

10年ほど前から物流倉庫の需要が高まっているアメリカ。

平均募集賃料が1平方フィート(0.09㎡)あたり7.24ドルに達し、初めて7ドルを超えた。最近の為替レートで換算すると、1坪あたり3万2000円もの賃料になる。

賃料の上昇とともに、需要が高まり始めた当時は問題視されていなかった建物の老朽化やスペック不足も、ここにきて指摘され始めている。

JLLの調査によれば、アメリカ全体の物流倉庫の平均築年数は42年。築50年以上の倉庫は全体の4分の1以上を占める。古い倉庫の多くは、人口も多く商業の中心地であるニューヨーク、ニュージャージー、シカゴ、ロサンゼルスなどに多く存在している。

特に不足しているスペックのひとつが天井高だ。2000年以前に竣工した倉庫の大半は、天井高が27フィート(8.2メートル)以下。近年の延床面積50万平方フィート(4万6500㎡)以上の倉庫の天井高32フィート(約10メートル)以上と比較すると保管効率が劣る。

さらに古い倉庫はトラックバースも少なく、荷動きの激しいEC向けには不十分だ。電力供給やスプリンクラーなどの設備が古い点も指摘されている。

スペックを現在の基準に合わせるには改修工事だけではまかなえず、建て替えが必要となる。しかし、ここで労働者確保と資材高騰が大きな障壁となっている。

人口の多い都市部なら労働者確保はさほど問題にならないが、人口の少ない郊外は労働者確保が困難だ。仮に労働者が確保できたとしても、驚異的といってもいいほど現在の建設資材は高騰を続けている。

なかでも深刻なのが鉄鋼不足で、その価格は2010年から2019年の10年間で3倍になった。鉄鋼の発注から入荷までのリードタイムも、従来約12ヶ月だったのが現在は16~18ヶ月に延びている。コンクリート、屋根材、各種備品など、そのほかの倉庫建設に必要な資材コストも上昇している。

世界最大の鉄鋼産出国である中国では、新型コロナによる生産調整やCO2排出量の削減などを理由に鉄鋼の減産を続けている。この生産能力が元に戻ならければ、高コスト、長リードタイムが改善されるまではオーナーも建て替えに踏み切りづらい。

しばらくは今の状況が続くことになるかもしれない。

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