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UPS シーズンサーチャージを急遽導入

アメリカの UPS が、ピークシーズンサーチャージを適用することを決定した。5月31日から、物流費にサーチャージを上乗せする。コロナによる巣ごもり消費で、3月以降オンラインショッピングのパッケージが洪水のように流れてきて収益を圧迫しているためだ。

この手の Fee は日本国内では馴染みがないが、アメリカでは物流量が通常の2倍になるクリスマス商戦の時期などに広く適用されている。今回の消費行動をそれになぞらえ、FedEx、UPS、Amazon といった物流・流通企業にとっての「セカンドクリスマス」と呼ぶ人も多い。

サーチャージは、物量の多い企業ほど影響が大きい。現時点で UPS の最大規模の顧客と言っていい Amazon、それに Walmart や Target などは、物流規模が大きいぶんサーチャージの負担も膨大なものになる。先の記事でもお伝えしたように Amazon はデリバリー業務に関して UPS や FedEx のパフォーマンスに不満を抱き、自社物流ネットワークの構築を急いでいるところだ。

UPS が取り扱う荷物の配達先比率にも変化が訪れている。3月までは住宅が50%であったが、4月以降は70%に上昇している。企業活動が停止したためオフィスビルへの配達が減少した一方で、個人宅への需要が急増している。これも、UPS にとっては重荷となっている。配達1件あたりの負担は、オフィス向けより住宅向けの方が大きくなるからだ。

オフィスビルであれば納品用の駐車場が用意されており、1ビル内で複数の企業への配達がまとめて完了できる。だが住宅の場合は1件届けるごとに駐停車を繰り返さなければならず、配達車の走行距離も伸びてしまう。1件あたりに要する時間も伸び、配送効率が悪化してしまうのである。

UPS が主要顧客らの反発にあってもあえてサーチャージ導入に至ったのは、こうした事情がある。

コロナの流行で世界中の物流企業が収益構造の改革を迫られるなか、とりあえず目先の利益確保を狙ったものとも言えそうだ。

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