世界中でアパレルチェーンを展開する米GAP社が、
倉庫内のピッキングロボット導入を急いでいる。
今年のはじめの計画では、
秋までに従来の3倍の106台まで増やすとしていた。
コロナ騒動が本格化するより前である。
ピッキングロボットベンダーは Kindred AI。
その直後にコロナパンデミックが発生した。
GAP社は GAP のほかに、バナナリパブリック、
オールドネイビーといったブランドを手掛けている。
巣ごもり消費でネットからの注文が増加する一方、
倉庫内作業員は十分な補充ができていなかった。
ソーシャルディスタンスがとりずらい倉庫内では、
むしろ作業員数を減らさなければ
感染拡大を招きかねない。
そこで GAP社は Kindred AI に対し、
納品の前倒しを要請した。
Kindred の COO は、
「実現は容易なことではなかったが、
GAP のテネシー州ナシュビル近郊の倉庫に10体、
オハイオ州コロンバス近郊の倉庫に20体を配置した。
残りの倉庫3カ所のうち、
2カ所は7月中にロボットの投入を実行できそうだ」
と述べる。
このピッキングロボは、
1台で4人分の作業をこなすという。
GAP社はアメリカの倉庫内だけで
6500人の作業員を抱えている。
その多くは、給与水準が比較的高めだという。
ところがGAP社は資金ショートに直面し、
22億5000万ドルの借入を先月おこしたばかり。
GAP社の昨年度の売上高の3分の2は実店舗によるもの。
だがパンデミックが発生し、
この数週間は閉店を余儀なくされている。
不安が募るばかりだが、
テクノロジーを先行して導入することで改善を目指している。
あるシンクタンクは、
「各社はより効率的な作業環境を実現するため、
熟練作業員のみ残し、非熟練作業員は
疲れ知らずで不平も言わないロボットに
積極的に替えようと意欲的になるだろう」
と語っている。
あらゆる分野に影響を及ぼすコロナパンデミック。
小売業界の自動化も、さらに加速させようとしている。