いま、コンテナ船による物流は今年一番の物量を記録している。
このかつてない物量が、世界中のサプライチェーンに影響を及ぼしている。
たとえば今年3月、世界全体で運行されているコンテナ船のうち、予定通りの日時に港に着いた船はわずか4割。On Time 率は40%だ。
2月から若干改善されたものの、3月の遅延日数は平均6日。On Time 率70%だった2年前の同時期と比較するとかなり悪い。
遅延の原因のひとつが、カリフォルニア州の Los Angeles Long Beach(LALB)港と言われている。コロナパンデミックによるネット通販の利用増加で枯渇した在庫を穴埋めすべく、アメリカの輸入業者は早急なコンテナ船の手配を必要とした。需要が急速に高まったものの LALB 港は急増した物量に対応できず、ボトルネックになってしまった。今も大量のコンテナ船が沖合で待機を余儀なくされている。
Maersk の Vincent Clerc 氏は述べる。
「上海港から LALB 港まで、これまでは平均14日だった。それが今では33日かかる。洋上のリードタイムはあまり変わらないが、問題は港の沖合に着いてからだ。そこから接岸してコンテナを降ろすまで、延々と時間がかかる。我々は船腹を増やすために数百万ドルを費やしたが、結局その大半は米国西海岸の混雑のために身動きが取れない状況になっている」
6日もの Delay が発生しているのは LALB 港のみではない。マレーシアのポートクラン、オランダのロッテルダム、ギリシャのピレウス、イギリスのサザンプトン、台湾の高雄でも同様だ。
物流の需要の高騰とともに、コンテナ運賃も高騰している。
船社や荷主により差はあるが、中国からアメリカ西海岸までは現在おおよそ5650ドルと見積もられている。昨年同期比の2.3倍である。
リードタイムも運賃も2倍では、もはや既存のサプライチェーンは対応できない。再構築するのか、落ち着くのを待つか。流通各社は、対応を迫られている。
https://www.wsj.com/articles/shipments-delayed-ocean-carrier-shipping-times-surge-in-supply-chain-crunch-11621373426