1ヶ月前の8月4日、レバノンのベイルートで2750トンの硝酸アンモニウムが発火、大爆発を起こし、200人が死亡するという大惨事があったことはたびたび報じられてきた。出火元のサイロがあった周辺は、今でも復旧にはほど遠い状況だ。
復興のために必要な資金は、今年度の12月までに6億5000万~7億6000万ドル。さらに来年には11億8000万~14億6000万ドルが必要と試算されている。
港で起きた事故ということもあり、さまざな被害の中でもっとも復興にかける費用が高いのが物流面。続いて文化財、住宅となっている。
先週、オランダ外務省はレバノン港再建を支援するため、自国の使節団をロッテルダム港湾局スタッフとともにベイルート港に送った。
しかし同じベイルート港でも、大型コンテナ船などが寄港する岸壁は比較的被害が軽微だったようだ。爆心地から東へ1キロほどはなれた場所にあるため、爆風が届かなかったのかもしれない。
ベイルート港のホームページによれば、オペレーションはすでに再開されているという。実際にレバノンと深い繋がりのあるフランスは、自国の海運会社・CMA-CGM の RORO 船に2500トンの支援物資を載せて寄港させている。マクロン大統領も9月1日、ベイルート港を訪問し、今回の活動を称えた。
RORO 船とは、Roll On / Roll Off の略で、「自分で乗りいれて自分で降りてくる」という意味。トレーラートラックが荷物を載せたシャーシを引いたまま自走して船に入り、シャーシと貨物を残してトラックヘッドだけ降りてくる。目的地の港に着いたら別のヘッドが乗り込み、貨物を積んだシャーシをけん引して引き取る仕組み。
ガントリークレーンやコンテナを集荷しておくターミナルも不要で、場船がつけられる岸壁とトラックの導線が確保されていれば荷の積み下ろしができる。そのため復興も早かったのかもしれない。