アメリカのオンタイムデリバリー(On Time Delivery)率が深刻だ。
全米50万か所以上の配送拠点のデータを分析するラストマイル技術開発企業のコンペイ社が、ネットで「BUY」ボタンをクリックしてから、品物が運送会社の手に渡るまでのフルフィルメントタイムの平均時間を調べたところ…
フレイト物流
【4月】14.1時間
【5月】75.2時間
パーセル(小口貨物)
【4月】16.3時間
【5月】25.6時間。
以上のように、フレイト、パーセルともに大幅に悪化している。
ここでいう「FREIGHT(フレイト)」とは、例えばパレタイズされた状態の大口貨物のこと。
この数字を見るだけで物流現場の悲鳴が聞こえてきそうだが、実際はどうだったのだろうか。
ネット通販利用者の急増によって商品確保が喫緊の課題となったが、肝心の工場は操業停止。輸入品も入って来ない。となれば在庫に頼らざるを得ないが、流通各社が過去10数年にわたって採ってきた「在庫保有率の低減」により、商品は取り合い状態。物流現場はパンク寸前だろう。「在庫はコスト」という考え方がかえってサプライチェーンのスローダウンを招き、結果として流通の非効率化を招いてしまった。
では物流全体では…
納期通りにデリバリーされたかの ON-TIME率
【4月】79%
【5月】75%。
4回中1回は時間通り届いていない状況だ。ちなみに2019年5月の ON-TIME率は90%。
会社別の ON-TIME率は…
UPS
【4月】81%
【5月】75%
FedEX
【4月】77%
【5月】75%
フレイト物流における ON-TIME 率はというと、さらに低い。
【4月】68%
【5月】66%。
コンベイ社のデータは約130社のデータを基にしている。ただし、アマゾンだけは彼らのデータに含まれていないと言う。いずれにしても現在のアメリカの物流事情はかなり厳しい。
コンベイ社が行ったアンケート調査では、回答者の41%が「配送遅延についてネガティブな感情を抱いている」という。
今の状況が継続すると物流に対する風当たりはますます強くなりそうだが、対策にも限界がある。というより、現場はすでに限界を迎えているのではないだろうか。