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アメリカ物流は解雇と雇用の狭間に

コロナパンデミックから徐々に経済活動を戻しつつあるアメリカ国内では、スモールパッケージ等の宅配関連業務の雇用が5月に入って増えている。

アメリカの宅配業者はロックダウン後の巣ごもり消費による貨物急増の対応に、てんてこ舞いの状態が続いている。

クリエと呼ばれる日本でいうヤマトや佐川にあたる宅配業者や、メッセンジャーと言われる自転車で書類を配達する配送業者は、5月に1万2100人を追加雇用した。

FedEx と UPS はオフィスデリバリ減少とホームデリバリ急増によるオペレーションの非効率化によりコスト増に見舞われたが、クリスマス商戦と同レベルのサーチャージを導入し、利益を確保している。倉庫業界においては、業界全体で4月に9万500人が職を失ったが、5月に入って8500人が新たに雇用されている。なかでもアマゾンと Walmart は、3月以降雇用を増や続けている。

一方、同じ物流業界でも、大型のトレーラーやコンテナを運ぶトラック会社や鉄道会社は3月以降雇用を減らし続けている。

トラック業界では全体で4月に8万9900人分の業務を削減。5月に入って更に1200人分を削減した。鉄道会社では4月に4100人分、5月に2100人分を削減した。トラック業界は5月、トレーラー輸送の受注件数が前年比37%下落し、コスト管理に神経質になっている。

トラックや鉄道など大口のビジネス顧客が中心となる大規模物流が雇用を減らし、パーソナルユースをメーンとする小口物流が雇用を伸ばしたかたちだ。コロナパンデミックの影響による物流の変化が、如実にあらわれている。

アメリカ全体では、3月に2210万人の失業が発生したが、5月に入ってようやく250万人の雇用が生み出された。

失業率は4月の14.7%からわずかに回復し、6月現在で13.3%となっている。

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